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あたりまえ [詩]

あたりまえ

            井村和清


こんなすばらしいことを、

みんなはなぜよろこばないのでしょう。

あたりまえであることを。

お父さんがいる。お母さんがいる。

手が二本あって、足が二本ある。

行きたいところへ自分で歩いて行ける。

手を伸ばせばなんでもとれる。

音が聞こえて声がでる。

こんなしあわせはあるでしょうか。

しかし、だれもそれをよろばない。

あたりまえだ、と笑ってすます。

食事が食べられる。夜になるとちゃんと眠れ、

そして、また、朝がくる。空気を胸いっぱいにすえる。

笑える、泣ける、叫ぶこともできる。

走り回れる、みんなあたりまえのこと。

こんなすばらしいことを、みんなは決してよろこばない。

そのありがたさを知っているのは、それをなくした人たちだけ。

なぜでしょう。あたりまえ。

 



井村医師は悪性の肉腫に冒され大腿骨から右足を切断しました

しかしがんは両肺に転移していて

わずか32歳という若さで亡くなられました

その2ヶ月後に次女の清子さんが産まれました・・・


この詩は「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」という本に収録されている詩です


井村先生はあたりまえの我が子との対面ができない

可愛い盛りの娘さんをおいて

優しい奥さんを残して死ななければならない辛さを

この詩に託されたのだと思います



死にたくない。生まれてくる子の顔を見たい

こんな「あたりまえ」のことが叶わない井村医師







「あたりまえ」に感謝できる気持ち

今日を精一杯生きようとする思い

愛する人に感謝する気持ち

そして自分に感謝する気持ち

医師だから自分の最期を悟ってしまう辛さに打ちのめされそうなりながらも

必死に書き残した家族に対する愛情・・・

井村医師は患者さんからも信頼されていて

 病に倒れた後も

「先生、早く帰ってきて下さい」

このように患者さんに懇願されたそうです・・・

あたりまえのことだから

あたりまえのことだからこそ

感謝することを忘れずにいたい

心の優しい人・・・

それは「あたりまえ」のことに感謝できる人だと思います





 


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コメント 2

Kim

この本は、徳○会の人たちはみんな読んでいますよ。感動する本ですよね。

普通じゃない(^^)理事長が、井村先生に本を書くように話したと言うことです。映画にもなっていますから、是非ご覧ください。

色々なことを忘れないようにする事、とても大切ですよね。

by Kim (2012-06-24 16:31) 

医学生女子

井村先生は徳○会病院の先生だったんですよね

理事長さんは・・・こちらの「地元」ですので・・・

いろいろと噂は聞いてます

先生もいろいろとご存じと思いますが・・・

ドラマはスマップの稲垣君が主演でやってましたね
先日レンタル屋さん借りてきました

泣き虫の私は

涙がボロボロ・・・でした
by 医学生女子 (2012-06-25 18:12) 

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