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信頼関係 [日記]

台風15号が沖縄本島を通過後、東シナ海を北上中です。今日中に朝鮮半島に上陸する予報が出ています。

今回の台風15号は沖縄本島接近前から「沖縄本島では観測史上最強の台風で、記録的な風雨が予想されるので、最大級の警戒をするように」という沖縄地方気象台では異例の会見を開き、警戒を呼びかけました。

沖縄本島では台風の接近と共に緊張が走り、厳重な警戒態勢がひかれたみたいです。

そんな中、気象庁の観測では910hPa、中心付近の最大風速50m、瞬間最大風速70mの台風15号は沖縄本島に向けて、ほぼ進路予想通りのコースを通って接近しました。 

そして8月26日21:30ころ、名護市付近を台風の中心が通過したようです。このときの名護市の最低気圧は935hPaで気象庁の観測値とは25hPaも異なりました。風速も名護市では瞬間最大風速でも40mを超えていません。

このことから気象庁は今回の台風の観測に関しては過ちをし犯したことになります。

日本では海上にある台風の勢力予想はドボラック法という手法を用いているので、この方法は予報官の主観が入りやすい方法であることが欠点です。一方米軍は一時中止していた航空機による実測を再開しました。この米軍観測では、この台風15号は940~945hPaで風速も40m程度(日本の風速の観測方法に換算しています)の台風でした。

もう少し米軍の実測も参考にして、ドップラーレーダーの雲の動きからも風速を推測できた訳ですから、もう少し早い段階での修正は出来たはずです。もちろん、防災という観点からは必ずしも適切な対応では無いかもしれませんが・・・

なぜ今回、気象庁の観測が台風の実態とかけ離れたのか、その後の事後解析の結果を見ないと分かりませんが、多くの方々は「凄い台風って言ってたくせいに大したことないじゃん」と思ったでしょう。そして次回、気象庁が同じような情報を出して災害に警戒するように呼びかけても「また、どうせ大したことないさ」って思うはずです。

ここで情報の出し手と受け手の間の信頼関係が崩れてしまったことになります。

人間はとかく良い方に考える思考があります。「これくらいは大丈夫」「この前も大丈夫だったから今回も平気」「またどうせ外れる」という思考になり、本当に災害が迫っても対策が疎かになり、大きな被害を出すことになります。

私は今の気象庁に足りないのは、国民との信頼関係構築と謙虚な気持ちがないことだと思います。

あとでこっそり事後解析をして、台風の勢力や進路を変更しても、一般の国民の方はそれを見ることがありません。やはり間違いは間違いとして、きちんとした科学的根拠に基づく説明を国民の前でするべきだと思います。

もちろん天気予報も台風情報も、自然が相手なので人間の予想通りにならないのは十分に承知しています。しかし今後の国民との信頼関係を構築する上では、きちんとした解析と説明をして、一言「申し訳ない」と言うべきだと思います。

今回は沖縄本島ではなく奄美(特に与論島)では大きな被害が出ています。しかし鹿児島地方気象台が奄美地方に最大級の警戒をするように呼びかけたという情報は無かったように思います。沖縄ばかりに注目行っていたのかもしれませんが、結果として台風15号の特性を気象庁が見誤ったためと思います。 

今回の15号のような暴風域の大きい台風は、中心よりむしろ中心から100~200キロ離れた台風の進路の右側で、暴風が吹き荒れる傾向があります。

お天気は国民生活に非常に密接な関係があります。台風などの災害に限らず、今日の天気は?今度の週末の天気は?今年の冬は寒いの?など、生活や経済にも大きな影響を及ぼします。それだけ情報の発信する方は、責任が大きいと言うことを自覚して欲しいと思います。

ずいぶん前の話ですが、気象予報士の森田さんが、前の日に自分が言った天気予報が外れたときに、視聴者に「ごめんなさい」と謝ったところ、気象庁から大目玉を食らったと言う話を聞きました。この話に私は非常に違和感を感じます。間違ったことに謝るのは良いことと思うからです。その方がお互いに信頼関係を構築出来るからです。

NHKの天気予報は「気象情報」と言います。これは天気予報だと外れたときに文句を言われるから、気象情報にしたと聞いたことがあります。なんとも姑息な手段だな、って思います。

自然のことなので、当たらないのは仕方ないことと思いますが、では何故今回は誤った情報を出してしまったのか、その原因はなんだったのかをきちんと多くの国民の前で発表し、一言「迷惑をかけた」と言うだけで、信頼関係を構築出来ると思います。

せっかく国民の税金で高価なコンピュータを購入して予報精度も上がっているのに、国民との信頼関係が無ければ無用の長物になります。

コンピュータの性能を最大限引き出し、災害を未然に防ぐのに必要なのは、最新式の高価なコンピュータでもなく、優秀なオペレーターでもなく、人と人の信頼関係に尽きると思います。

不幸な災害を未然に防ぐためにも、国民との信頼関係を築けるように気象庁の職員は、責任感をもってきちんとした情報を国民に発信して欲しいと思います。


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Kim

そうですね。おっしゃるとおりです!

より正確な予想を目指すのであれば、意見は受け入れて欲しいですね。

by Kim (2012-08-28 14:28) 

医学生女子

先生 コメント&ナイスありがとうございます

医者と患者さんの関係もお互いの信頼関係が大事ですよね

より良い治療のために、きちんとした信頼関係を築きたいですね


by 医学生女子 (2012-08-29 16:43) 

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